1. どちらが必要なの?
2. どのように使い分ければいいの?
3. 実際の活用例は?
記事の内容
- データサイエンスと統計学の5つの違い。大切なのは〇〇!
- データサイエンスと統計学を積極的に活用している業種はどこ?
- これからの時代に必須級!データサイエンスと統計学の活用企業など8選。
記事の信頼性
- 日本ディープラーニング協会 E資格 を保有し、現役エンジニアの筆者が、自身の経験と調査した結果から執筆した記事です。
データサイエンスと統計学は密接に関連していますが、異なるアプローチを持っています。
統計学は主に確率分布による仮説検定、回帰分析、推論方法などを中心に研究していますが、データサイエンスは機械学習、データマイニング、ビジネスインテリジェンスなどのデータ解析による実践的な問題に対して研究を行います。
従って、統計学は理論的な側面に重点を置き、データサイエンスは実践的な観点に重点を置いていることが言えます。
それゆえ、両分野の違いを理解し、用途に応じた適切な手法選択ができなければ
効率は悪化し、最悪の場合は課題解決に繋がらないことも。
ではどうするか?
本記事を読むことで両者の違い、活用を進める業種と企業を理解することができます。
データサイエンスと統計学の違いを理解する事で、効率よく学んでいきましょう!
データサイエンスと統計学の5つの違い。大切なのは〇〇。
ではまずデータサイエンスと統計学その違いと、データ分析者に求められることをご紹介します。
データサイエンスと統計学の5つの違い
データサイエンスと統計学は、似たような分野に見えますが、以下の違いがあります。
- 目的の違い
統計学は、原因と結果の関係や、確率の推定に重点が置かれています。一方、データサイエンスは、多くのデータを解析して、それらから価値ある情報を引き出すことに重点が置かれています。 - 解析対象の違い
統計学で扱われるデータは、何か一定の標本から得られたものであるのに対して、データサイエンスでは、さまざまな場所から得られた大量のデータが解析対象 - 解析アプローチの違い
統計学は確率論を基盤にデータの背景にある構造を解析するが、データサイエンスはコンピューターと統計学的手法を融合して大規模データを解析する。 - 前処理に対する考え方の違い
統計学では、データの前処理や可視化が推測統計の前提条件の一つと考えるのに対し、データサイエンスでは、前処理や可視化が分析や予測モデル構築の最初のステップとされている。 - 分析手法の違い
データサイエンスは機械学習や人工知能技術によって分析するのに対して、統計学では統計モデルによる分析が中心。一般的には統計モデルのほうがシンプルで「解釈性」が高くなる一方「精度」は低い。逆に機械学習や人工知能技術では「精度」が高くなる一方で、「解釈性」が低くなる。
④⑤について簡単に補足します。
統計学とデータサイエンスにおけるデータの前処理の違い
統計学では、データの前処理や可視化が推測統計の前提条件の一つと考えられています。例えば、正規性や等分散性の検定を行う前に、ヒストグラムや箱ひげ図を用いてデータの傾向やばらつきを確認することが重要です。また、データの欠損値や異常値の扱いも統計的な観点から重要視されます
一方、データサイエンスでは、前処理や可視化が分析や予測モデル構築の最初のステップとされています。膨大なデータから有用な情報を抽出するために、事前にデータをクレンジングし、可視化によって傾向やパターンを見つけることが不可欠です。
データサイエンスと統計学における「解釈性」と「精度」のトレードオフ
統計学はデータからパターンを発見して分析することに重きを置きます。一方でデータサイエンスは、ビジネスや学術研究などの様々な領域でデータを活用し、課題解決に役立てます。
また、データサイエンスはビッグデータを機械学習や人工知能技術によって分析するのに対して、統計学では統計モデルによる分析が中心となります。状況に応じて、データサイエンスか統計学か使い分けたり組み合わせることが大切です。
一般的には統計モデルのほうがシンプルで「解釈性」が高くなる一方、「精度」は低い。
逆にデータサイエンスで使用される機械学習や人工知能技術では「精度」が高くなる一方で、「解釈性」が低くなります。
田村光太郎氏による「データサイエンスにおけるモデリングのアプローチ」によれば、
統計における主要な回帰(Linear/Logistic Regression)であれば、モデルがシンプルであるため解釈性は高い
が、精度は低くなる。一方、深層学習 (DeepLearning、AIモデルを構築するときの中心となるアルゴリズム)では、複雑なモデルが組み上げられるため、解釈性は低くなるが、精度が高くなることが表されている。
とあります。
データ分析者に求められること
今までのことから、以下の3つがわかります。
- 統計学とデータサイエンスは異なるアプローチを取るが、どちらも情報を読み解く上で重要な役割を果たしている。
- 理解や解釈力が不可欠であり、それぞれの専門家はデータを正確に説明し、判断に必要な情報を提供することに努める必要がある。
- データサイエンスや統計学に携わる人々は、両方のアプローチを組み合わせることで、より正確で信頼性の高い情報を読み解くことができるようになる。
データサイエンスは未来を予測するためのモデル構築を行い、その結果を組織や社会の意思決定に反映させます。一方、統計学は過去のデータから傾向やパターンを読み取り、その結果を現在や未来に活かすことができます。
両者は協力しあってこそ、より有効な予測や分析を行うことができます。データサイエンスが未来を予測するためのモデルを構築し、統計学がそのモデルを検証することで、より正確な予測や分析が可能。
つまりどちらかが正解というよりも「両者が一体となった学習」が真の正解です。
おすすめの学習方法はこちらの記事で紹介しています。
1. 学習コンテンツが多すぎて、どこから始めればいいのかわからない。2. 自分に合った学習方法がわからない。3. 実践的なスキルを身につけたいが、どのように学習すれば良いかわからない。[…]
データサイエンスと統計学を積極的に活用している業種は?
どちらも大切なデータサイエンスと統計学ですがどのような業種で用いられているのでしょうか?
実際、データサイエンスと統計学は、様々な分野において重要な役割を果たしています。
ここからは活用例を紹介します。
データサイエンスと統計学の活用が進む6つの業種
データサイエンスと統計学の相乗効果による正確な予測と分析に取り組む業界としては、
例えば以下の6つがあります。
- 教育:教育関連データを統計的に分析し、教育心理学や教育工学などの知見を用いて学習者の特性やニーズを把握します。これにより、個別化された学習支援やカリキュラム設計、教師の質向上などが可能になります
- スポーツ:スポーツ関連データを統計的に分析し、選手やチームのパフォーマンスや戦術などを評価します。これにより、勝率や得点力などを向上させたり、選手の怪我や疲労などを予防したりすることができます
- 株式:株式関連データを統計的に分析し、金融工学や機械学習などの技術を用いて株価や市場動向などを予測します。これにより、投資家はリスク管理や収益最大化などの判断材料とすることができます
- 医療:医療データや遺伝子情報から病気の進行状態や治療効果を予測するモデルを構築します。このモデルは、解釈性と精度のバランスを考慮して、統計的な手法や人工知能などの技術を組み合わせて作られます例えば、乳がんの再発リスクを予測するモデルでは、臨床的な因子だけでなく、遺伝子発現プロファイルも利用しています
- 気象:気象観測データや気象衛星画像から天気や台風の進路を予測するモデルを構築します。このモデルは、物理学的な法則に基づく数値シミュレーションと統計的な手法を融合させた「データ同化」という技術を用いて作られます例えば、台風の強度や位置を予測するモデルでは、観測された台風画像と数値シミュレーションの結果を最適化問題として解きます
- 小売:店舗ごとの売上データや商圏データから売上高や需要量を予測するモデルを構築します。このモデルは、重回帰分析という統計的な手法で作られますが、説明変数の選択や変換などに工夫が必要です。例えば、チェーン店舗が売上予測モデルを構築する場合、店舗属性項目だけでなく、商圏人口や競合店舗数なども考慮します
→重回帰分析による売上予測の精度向上について:(引用元)技研商事インターナショナル
いかがでしょうか?
こうしてみると私たちの身近に事例は溢れていますね。
「データサイエンスと統計学は、互いに補完し合う分野である」と言われています。統計学は古くから確率論を用いてデータの解析に取り組んできましたが、データサイエンスでは機械学習による予測やデータの可視化が注目されています。
しかし、過去のデータを予測に生かすためには、統計学の知見も必要不可欠。
例えば、カーネル密度推定やモンテカルロ法を用いることで、過去のデータからの予測をより精度の高いものにすることができます。また、統計学による因果推論の手法を用いれば、データサイエンスでは扱いにくい因果関係の解析が可能となります。
実際にPythonエンジニアの年収は他の職種に比べて高いです。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。
1. 適切な年収の目安が分からない。2. 業界や地域によって年収の水準は違うの?3. なんで年収が高いの?こんな疑問・悩みを解消します 記事[…]
これからの時代に必須級!データサイエンスと統計学の活用企業など8選
ここからは更に1歩踏み込んで、実際の企業や組織での製品改善における活用事例を紹介したいと思います。
データサイエンスと統計学の製品改善における使い分け方
製品改善における使い分け方は、目的や状況に応じて変わりますが、一般的には以下のようなガイドラインがあります。
データサイエンスは、「何をすべきか」や「どうすれば良くなるか」を答えるために使います。例えば、「顧客満足度を高めるためにはどんな機能を追加すれば良いか」や「売上高を増加させるためにはどんな価格設定が最適か」などの問題に対して、データから価値ある提案や施策を導き出します
統計学は、「現状はどうか」や「原因は何か」を答えるために使います。例えば、「製品の品質が低下しているかどうか」や「製品の不具合発生率が高くなった理由は何か」などの問題に対して、データから客観的な評価や分析を行います
以下に積極的に統計学とデータサイエンスを取り入れている6つの企業+2つの組織における活用方法を紹介します。
- Netflixは、データサイエンスを用いて、視聴者の嗜好や行動を分析し、パーソナライズされたコンテンツやレコメンデーションを提供しています。また、統計学を用いて、コンテンツの品質や人気度を評価し、製作や配信の最適化を行っています
- Amazonは、データサイエンスを用いて、顧客の購買履歴やレビューなどから関連商品やおすすめ商品を提示していますまた、統計学を用いて、在庫管理や配送予測などの業務効率化を行っています
- 東芝メモリは、データサイエンスを用いて、半導体製造工程におけるセンサーデータから異常検知や品質管理などの最適化を行っていますまた、統計学を用いて、歩留まり向上やコスト削減などの改善策を導き出しています
- IBMは、データサイエンティストの採用において、応募者に対してオンラインで様々な課題を出し、そのパフォーマンスやコードの品質を評価するシステムを導入しています。このシステムにより、応募者の実力や適性を客観的に測ることが出来ます
- Googleは、データサイエンティストの採用において、応募者に対して電話面接やオフラインでの筆記試験などを行い、その結果を機械学習モデルに入力することで、最終的な採否判定を行っていますこのモデルにより、応募者の能力やポテンシャルを予測することが出来ます
- 楽天は、データサイエンティストの採用において、応募者に対して自社のビジネス課題やデータセットを与えて解決策を提案させるプロジェクト型選考を行っていますこの選考により、応募者のビジネス理解力やコミュニケーション力なども評価することが出来ます
- 日本政府は、統計学的手法である回帰分析(Regression Analysis)を用いて、「新型コロナウイルス感染症対策分科会」における「感染状況・医療提供体制指標」(Go To トラベルキャンペーン等)に関する分析結果等に基づき,各都道府県別に「感染拡大特別措置法」(Stage 4)等に基づく対策強化要請等,政策決定・実施等,行政判断・行動等,実施しています
- 日本銀行は,統計学的手法である因子分析(Factor Analysis)を用いて,景気循環指数(Coincident Index:CI)及び先行指数(Leading Index:LI)等,景気動向判断指数(Composite Index:CI)及び景気動向予測指数(Composite Leading Index:CLI)等を作成し,経済活動全体の現況や将来展望に関する情報提供しています
以上からも幅広い分野で活用されていることが分かります。
両方をバランスよく学び、自分の価値を高めましょう!
データサイエンスにおすすめの資格・検定はこちらの記事で紹介しています。
1. どの資格・検定を取得すべき?2. 取得するとどんな嬉しさがあるの?3. 資格取得はキャリアアップにつながる?こんな疑問・悩みを解消します […]
データサイエンスと統計学5つの違い!本当に必要なのは〇〇です。 まとめ
1. どちらが必要なの?
2. どのように使い分ければいいの?
3. 実際の活用例は?
こんな悩みへの結論は
お読みいただきありがとうございました。
これからも幅広い知識を身に着けて、仕事を楽にしていきましょう!
ではまた!